2007年4月25日水曜日

中古マンションのリノベーション

中古マンションのリノベーション

(読売新聞より引用)

 築35年の古い団地を、こんなにもモダンで、家族の希望に合ったオーダーメイド的住まいに出来るとは、びっくりする方もいるでしょう。実はこの数年、Aさんのようにリノベーション(改修)を前提に、手頃な中古マンション購入する人が増えていることもあり、特に東京では中古マンションの価格が上がっているのです。

 A邸の改修を手がけたブルースタジオの取締役であり、建築家の石井健さんは次のように話します。

 「この2、3年の都市部の住宅購入需要の伸びには、低金利などの金融的事情、インテリアや家具、デザインに対する興味の高まり、都心回帰など、いくつかの理由があると思われます。中でも若い層が、家というものを財産やステイタスと結び付けるより、もっと合理的に今を幸福に賢く楽しむために必要なものと考え始めたことが、大きく関係しているんじゃないでしょうか」。

 つまり、持ち家を終(つい)の棲家(すみか)として手に入れるのでなく、賃貸より賢い選択だから選ぶ、ということのようです。

 石井さんは続けます。

 「同じ中古でも、一戸建ては購入しにくい状況にあります。駅に近い場所はなかなか売りに出ませんし、購入して住んだとしてもいざ手放したくなった時に、売りにくいし貸しにくい。その点、マンションの方が不動産商品として整備されているため、購入する時に安心感があるのです。利便性の高い場所に住めるし、運営管理を自分でやる必要もありません」。

 では同じくマンション購入するとして、新築と中古を比べるとどうなのでしょう。

 「たとえば予算を5000万円としましょう。東京だとこの予算では、神宮前や恵比寿に家族で住む広さの新築マンションは買えません。なぜなら、こうした人気のエリアで新築分譲マンションを売る業者は、マーケティングの結果、富裕層をターゲットにするため、おのずと高級物件が主流になるからです。そして1億5千万円とか思い切り高い値付けがされて、それでも売れてしまう。しかし中古マンションなら事情は違ってきます。3500万円の物件を購入し、1000万円かけてリノベーションすれば、諸費用が500万円でも、予算内の5000万円。この方法なら、神宮前や恵比寿に住めるのです。だから若い人たちは、『中古取得+リノベーション』を選ぶ傾向にあります。若い間は我慢をして賃貸に住んでお金を貯めて、人生の後半で郊外の一戸建てを購入――というスタイルが以前ほど多くの人の『夢』ではなくなり、住まいの考え方がより多様化してきたということでしょう」(石井さん)。

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